2024/11/21
犬や猫の高齢化が進むにつれ、腎臓病にかかる子が増えてきました。腎臓病は加齢以外にも中毒や食事などさまざまな原因で起こりますが、いずれにしても治療が遅れるとどんどん進行していき、最終的に命を落としてしまうケースも少なくありません。そのため、愛犬や愛猫を病気から守る術があれば知りたいと思っている飼い主様は多いのではないでしょうか。
今回は犬と猫の腎臓病について、原因や治療方法、予防方法などを解説します。
■目次
1.症状と原因
2.診断方法
3.治療と管理
4.愛する犬や猫の健康を守るためにできること
5.まとめ
症状と原因
腎臓病は中毒や感染症、自己免疫疾患、加齢、遺伝、食事など、さまざまな原因から起こりますが、犬の場合は中毒による急性腎障害が、猫の場合は加齢による慢性腎臓病が多く見られます。腎臓病には短期間で腎臓の機能が低下する「急性腎障害」と、徐々に腎臓の機能が低下する「慢性腎臓病」があります。
<急性腎障害>
元気喪失や食欲不振、嘔吐、下痢、脱水といった症状が見られ、重度の場合には短時間で亡くなってしまうこともあります。
<慢性腎臓病>
初期の段階では無症状であることがほとんどです。しかし、進行すると多飲多尿や食欲不振、体重減少、嘔吐、貧血などの症状が見られるようになります。そして最終的には神経症状や呼吸困難などが見られるようになり、命を落としてしまいます。
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診断方法
腎臓病の診断では主に血液検査、尿検査、超音波検査などを行い、腎機能の低下を確認します。<血液検査>
腎臓病では、BUN(尿素窒素)やクレアチニン、SDMAの値を測定します。特にSDMAは、腎臓病が悪化する前の初期段階から異常値を示すため、腎臓病の早期発見に大いに役立ちます。
<尿検査>
尿比重の低下やタンパク尿の有無、尿蛋白クレアチニン比(UPC)を評価します。これらの項目は、腎臓の機能状態を詳細に把握するために欠かせない指標となります。
<超音波検査>
超音波で腎臓や膀胱を含む尿路全体の様子を観察できます。この検査では、臓器の形状や大きさ、血流の異常、さらに腫瘍や結石の有無などを確認することができます。
治療と管理
基本的には内科的に治療や管理を行っていきます。<食事療法>
食事を腎臓病用の療法食に切り替えます。腎臓病用の療法食はリンやナトリウム、タンパク質の量を制限することで腎臓への負担を減らし、オメガ3脂肪酸を多く添加することで腎臓病の進行を抑えてくれる働きがあります。
<薬物療法>
残念ながら腎臓病を治すような特効薬はありません。そのため、進行を抑えることと症状を緩和することを目的に薬を使った治療を行います。
<輸液療法>
脱水が見られる場合には輸液療法を行うこともあります。軽度であれば通院による皮下点滴を行いますが、全身状態が悪い場合には入院をしながら静脈点滴を行います。
愛する犬や猫の健康を守るためにできること
愛する犬や猫の健康を守るために、日頃から以下を心がけながら生活しましょう。<適切な食事の選択>
日頃から栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。「総合栄養食」と呼ばれているフードは、必要量を食べるだけで健康を維持できるような栄養が摂れるようになっています。また、おやつや人用の食べ物は塩分が多く入っていることも少なくないため、できるだけ控えましょう。
<水分摂取の管理>
飲水量が少なくなると腎臓に負担がかかってしまうため、水飲み場の数を増やす、自動給水器を利用するなどして、いつでも新鮮な水を飲めるように工夫しましょう。
<ストレス軽減>
ストレスは万病のもとであり、腎臓病などの病気を引き起こす恐れがあります。そのため、適度に運動をしたり、飼い主様とのコミュニケーションの時間をしっかり確保したりするなどして、なるべくストレスのかからない生活を心がけましょう。
また、症状が出る前の早い段階で病気の存在に気づけるよう、少なくとも1年に1回(シニア期に突入したら半年に1回)は定期健診を受けましょう。
健康診断についてはこちらから
まとめ
腎臓病を予防するためには、適切な食事管理や飲水量の確保、ストレスの軽減を心がけることが大切です。しかし、腎臓病を引き起こす原因は多岐にわたるため、なるべく早い段階で病気の存在に気がつけるよう、定期健診を受けましょう。お問い合わせはこちら
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