2025/04/10
こうしたアレルギーの管理には、適切な診断と治療が欠かせません。しかし、インターネット上には多くの情報が溢れており、「どのアレルギー検査が信頼できるのか」「本当に意味があるのか」など、不安や疑問を抱く飼い主様も少なくありません。
今回は、犬と猫によく見られるアレルギーの種類とその症状、信頼できるアレルギー検査の種類、検査後の治療方法、そして正しい情報をもとに治療へ進むための大切なポイントについて詳しく解説します。
■目次
1.犬や猫のアレルギーとは?〜主な種類と症状〜
2.信頼できるアレルギー検査とは?
3.アレルギー検査後の対応と治療
4.まとめ〜大切な犬や猫のために選びたい信頼できる検査〜
犬や猫のアレルギーとは?〜主な種類と症状〜
犬や猫がアレルギーを発症すると、まず目立つのは皮膚トラブルです。皮膚をしきりに舐めたり掻いたり、赤みや脱毛が見られる場合には、アレルギーの可能性が考えられます。また、アレルギーには以下のようにいくつかの種類があり、それぞれに特徴的な症状があるため、見極めが重要です。
<アトピー性皮膚炎(環境アレルギー)>
花粉やダニ、ハウスダストなどの環境中のアレルゲンに反応して起こります。症状としては、耳や顔、足先などに強いかゆみや赤みが出ることが多く、柴犬やシーズー、フレンチブルドッグなど、特定の犬種で発症しやすい傾向があります。猫ではアビシニアンやペルシャなどでよく見られます。
犬のアトピー性皮膚炎についてはこちらから
<食物アレルギー>
特定の食材に反応して起こるもので、皮膚炎だけでなく、下痢や嘔吐などの消化器症状も伴うことがあります。牛肉や鶏肉、小麦、とうもろこしなどが原因となることが多く、摂取後数時間から数日で症状が現れるケースもあります。食物アレルギーの場合は血液検査や皮膚の検査だけでは診断がつかず、時間をかけてさまざまな検査を行うことで総合的に診断をします。
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<ノミアレルギー>
ノミの唾液に対して過剰に反応するアレルギーです。強いかゆみとともに、赤い発疹や脱毛が急速に広がることがあります。特に夏場など、ノミが活発になる季節に注意が必要です。
アレルギーと他の皮膚疾患は非常に似た症状を示すため、見た目だけで判断することは困難です。また、アレルギーと他の病気が併発している場合もあるため、正確な診断のためにも動物病院での検査をおすすめします。
信頼できるアレルギー検査とは?
犬や猫のアレルギーを正確に診断するには、科学的根拠に基づいた検査が不可欠です。現在、獣医学的に信頼性の高いアレルギー検査には、主に以下の3つがあります。
<血液検査>
アトピー性皮膚炎やノミアレルギーの疑いがある場合に、環境アレルゲンを特定する「アレルゲン特異的IgE検査」が用いられます。さらに、食物アレルギーが疑われるケースでは、それに加えて「リンパ球反応検査」を行うことで、より正確な診断が可能です。
当院では、「動物アレルギー検査株式会社」と連携し、このリンパ球反応検査を導入しています。この検査は、他の検査会社では実施されていない特別な検査で、食物アレルゲンの反応を詳細に確認できるのが特徴です。検査は外注となりますが、通常、結果は約1〜2週間ほどで届きます。
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<皮内反応試験>
少量のアレルゲンを皮膚に注射し、15分後にアレルギー反応を観察する検査です。即時型アレルギーの確認に有効ですが、あくまでも補助的な検査とされ、確定診断には複合的な評価が必要です。
<除去食試験>
食物アレルギーを確認する際に最も重要な検査です。アレルゲンとなる可能性が高い食材を除いた特別な食事を一定期間与え、症状の改善を観察します。疑わしい食材を一つずつ再び与えることで、原因となるアレルゲンの特定を行います。
最近では、毛を送るだけでアレルギー検査ができると謳っている検査法もありますが、残念ながら今のところ科学的根拠がありません。誤った検査結果により不要な治療を始めてしまったり、逆に必要な治療を遅らせてしまったりするリスクがあるため、十分に情報を吟味することが大切です。
アレルギー検査後の対応と治療
検査によってアレルギーの原因が特定された後は、その内容に応じた治療を行っていきます。
<食事療法>
食物アレルギーに対して最も効果的な治療法です。原因となる食材を一切含まない除去食に切り替えたり、アレルギー反応を起こしにくい「低分子タンパク質」を使った療法食を取り入れたりすることで、症状の改善を図ります。症状が落ち着いた後も、再発を防ぐための食事管理が欠かせません。
<薬物療法>
かゆみや炎症を抑えるためにステロイドや抗ヒスタミン薬、必要に応じて免疫抑制剤を使用します。症状の強さや頻度に応じて、投与量や薬の種類を調整します。
<免疫療法(減感作療法)>
少量のアレルゲンを長期間投与してアレルギー反応を起こしにくい体質にする「減感作療法」という治療法もあります。他の治療法は症状を抑えるために行いますが、減感作療法は体質を改善することができるため、治療を続けることで完治するケースもあります。
また、環境アレルギーに対しては、生活空間を清潔に保つことも重要です。こまめな掃除や空気清浄機の使用、アレルゲンの除去を意識した環境作りが症状の軽減に役立ちます。
アレルギーは一時的に治まっても、再発しやすい慢性的な疾患です。そのため、アレルギーは基本的に生涯にわたって管理が必要で、定期的な通院による評価と、治療内容の見直しが欠かせません。犬や猫の健康を守るためには、飼い主様の継続的なサポートが何よりも重要です。
まとめ〜大切な犬や猫のために選びたい信頼できる検査〜
犬や猫がアレルギーに苦しむ姿を見るのは、飼い主様にとっても大きな負担です。しかし、正しい知識と科学的根拠のあるアレルギー検査を受けることで、適切な治療へと進むことが可能になります。
世の中にはさまざまな検査情報が出回っていますが、情報を正しく見極め、信頼できる獣医師に相談することが、犬や猫の健康を守る第一歩です。アレルギー症状が疑われる場合は、ぜひお早めに動物病院へご相談ください。
当院では、科学的根拠に基づいた信頼性の高いアレルギー検査を実施しており、飼い主様とともに最適な治療方法を見つけていくことを大切にしています。お電話やWEBからのご予約も可能ですので、犬や猫のアレルギーでお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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