犬のフィラリア症とは?|感染経路・症状・予防時期・治療法まで徹底解説 - ドクターオザワ動物病院 八王子・町田・入間

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みなさんは、フィラリア予防薬がどのような薬かご存じでしょうか?「蚊に刺されるのを防ぐ薬」と思われがちですが、実際にはそうではありません。この薬は、蚊に刺された際に犬の体内に入り込んでしまったフィラリアの幼虫を駆除するためのものです。

フィラリアの幼虫は犬の体内で徐々に成長し、放置すると心臓や肺の血管に寄生して重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、フィラリア症を未然に防ぐためには、毎月きちんと予防薬を投与することが大切です。

今回は、フィラリアシーズンが始まる前に知っておいていただきたい犬のフィラリア症についての基礎知識などを詳しくご紹介します。

当院がある八王子・町田・入間エリアでも感染のリスクがあるため、正しい知識を身につけ、愛犬の健康を一緒に守っていきましょう。



■目次
1.フィラリア症とは?基礎知識と感染経路
2.フィラリア予防薬の正しい理解
3.フィラリア予防の適切な時期と期間
4.フィラリア症の症状
5.診断方法・治療方法
6.よくある誤解と質問
7.まとめ


フィラリア症とは?基礎知識と感染経路

フィラリア症とは、「フィラリア」という寄生虫が蚊を介して体内に入り、心臓や肺の血管に寄生することで起こる病気です。正式には「犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)」とも呼ばれています。蚊を媒介して感染が広がり、犬以外にも猫や人間に感染することがある人獣共通感染症でもあります。

このフィラリア症がどのように広がっていくのか、その感染経路は以下の通りです。

①フィラリアに感染している犬の血を蚊が吸う
②フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が蚊の体内で成長する
③蚊がほかの健康な犬の血を吸う際に、幼虫が体内へ侵入する
④幼虫は体内を移動し、約2〜3か月かけて心臓や肺動脈に寄生する
⑤寄生後、さらに約3か月で成虫になり、大量のミクロフィラリアを産む
⑥感染した犬の血を別の蚊が吸うことで、ほかの犬へ感染が広がる

フィラリア症の発生率はそこまで高くはないものの、毎年全国各地で症例が報告されており、八王子・町田エリアでも年間に数件の発生が確認されています。

また、散歩や外出時などの屋外で感染リスクが高まりますが、蚊は室内にも入り込むため、完全な室内飼育でも感染の可能性があります

フィラリア予防薬の正しい理解

「フィラリア予防薬」と聞くと、蚊に刺されないようにする薬だと思われがちですが、実際には犬の体内に侵入したフィラリアの幼虫を駆除する薬です。

予防薬には以下のように様々なタイプがあり、犬の性格やライフスタイルに合わせてお選びいただけます。

・錠剤タイプ
・チュアブルタイプ(おやつ感覚で与えやすいフレーバー付き)
・スポットタイプ(皮膚に直接垂らすタイプ)
・注射タイプ(1回の接種で約1年間効果が持続)

フィラリア症は、毎月1回の予防薬を忘れずに投与することで、確実に予防できます。途中で投薬を忘れると感染リスクが生じるため、継続が何より大切です。

もし何か疑問があれば、診察時に遠慮なくご相談ください。

フィラリア予防の適切な時期と期間

フィラリアの予防期間の目安は、蚊が発生し始めてから1か月後にスタートし、蚊がいなくなってから1か月後まで行います。
八王子・町田・入間エリアでは毎年5月〜12月が予防期間とされています。

ただし、最近では温暖化の影響により、蚊の発生時期が早まったり活動時期が長引いたりする傾向があるため、今後は予防期間を見直す必要が出てくる可能性もあります。

また、予防薬を安全に使用するためには、投薬前にフィラリアの感染有無を血液検査で確認する必要があります。万が一、体内に幼虫がいる状態で薬を投与すると、アレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こすことがあり、命に関わる危険もあります。そのため、必ず検査を受けてから予防を始めましょう。

犬や猫の血液検査についてはこちらから

フィラリア症の症状

フィラリア症は感染初期には症状がほとんど現れず、軽度の咳が出る程度です。しかし、病状が進行すると運動を嫌がる、疲れやすくなるといった変化が見られるようになります。
さらに重症化すると、以下のような深刻な症状が現れることがあり、放置すると命に関わる可能性もあります。

・腹水
・食欲不振
・体重減少
・呼吸困難
・失神
・不整脈
・黄疸

診断方法・治療方法

フィラリア症が疑われる場合、血液検査で診断を行います。ほかにも、レントゲン検査や超音波検査、心電図検査などを行ない、全身状態や心臓、肺へのダメージがないかどうかも確認します。

フィラリア症の治療方法は、以下の通りです。

<内科的治療>
・フィラリア予防薬
・成虫駆除薬
・心臓の薬
・ステロイド剤
・利尿剤(胸水や腹水がたまっている場合)

<外科的治療:つり出し法>
頸静脈から細い器具を入れて、心臓に寄生しているフィラリアの成虫を直接取り除く方法です。特に「大静脈症候群」と呼ばれる命に関わる緊急性の高い状態や、フィラリアが大量に寄生していて体力のある犬に対して行われることがあります。

また、症状に応じてこれらの内科的治療と外科的治療を組み合わせることもあります。

治療には体への負担やリスクが伴い、経済的にも大きな負担になることがあります。そのため、フィラリア症は発症してから治すのではなく、あらかじめ予防することが何よりも大切です。

よくある誤解と質問

Q:うちの子は室内飼育だから予防しなくても大丈夫ですか?
A:いいえ。蚊は屋内にも侵入するため、室内で生活している犬でも感染のリスクはあります。必ず予防を行いましょう。

Q:予防薬を飲ませるのを忘れてしまいました。どうしたら良いでしょうか?
A:気づいた時点ですぐに投薬してください。ただし、2回以上忘れてしまった場合は、犬の体内で幼虫が成長している可能性もあるため、必ずかかりつけの動物病院に相談しましょう。

Q:薬の副作用が心配です。
A:副作用は稀ですが、体内に幼虫がいる状態で投与するとアナフィラキシーショックを起こすことがあります。そのため、予防開始前には必ず血液検査を行います。また、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こすこともあります。異変が見られた場合はすぐに動物病院を受診してください。

Q:ノミ・マダニ予防と一緒にできますか?
A:はい、可能です。最近ではフィラリアとノミ・マダニを同時に予防できるオールインワンタイプの薬もあります。

Q:狂犬病予防接種と同時にできますか?
A:はい、同時に実施することができます。動物病院を受診して同時に行えば、1度の来院でフィラリア予防薬の投与と狂犬病予防接種を1回で済ませることができます。飼い主様にとっても犬にとっても負担が軽減されます。

まとめ

愛犬をフィラリアから守るためには、正しい知識を身につけ、適切なタイミングで予防を行うことが大切です。

また、採血した血液を使って健康診断を行ったり、注射薬以外の予防薬であれば、狂犬病予防接種と同時に行ったりすることもできます。そのため、病院嫌いの子や痛みに弱い子であれば、早めに動物病院を受診し、フィラリア予防や健康診断、狂犬病予防注射などをまとめて行うことをおすすめします。

当院では、フィラリア予防薬の処方をはじめ、予防に関するご相談も随時受け付けております。もしなにか気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。


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